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「心構え編」

知っておくべき11の心構え

今、就職のイミングを迎えた高校生は幸運だと言われています。たくさんの求人に恵まれ、雇用状況が売り手市場だからです。
この『心がまえ編』ではそのようなイミングだからこそ、あえて厳しい言葉を並べました。これは実社会で働く大人、つまり皆さんを採用しようとする会社の人たちの本音だと思って、しっかり受け止めてください。
わずか3年前までの高校生は就職難と言われていました。平成26年度になって状況が急激に変わり、今では採用難といわれるようになりました。つまり内定は出やすくなり、就職率も向上しています。さらに皆さんたちには仕事を探している大人たちに比べると、はるかに恵まれた支援体制や採用条件が準備されています。一生に一度限りの大きなチャンスと言ってもいいでしょう。(こんなに恵まれた就職環境は二度と訪れません)
でもこれはあくまでも就職するまでのお話しです。どんな時代に就職しようと採用された後の仕事への取り組みの厳しさに変わりはありません。
会社の人たちはまだ若い皆さんを温かく迎えたいという思いと同時に、仕事を通して早く大人として認め合える関係になりたいと願っています。
現実を見つめ、受け入れ、縁のあった会社でしっかりキャリアを積んでください。一年後には、すっかり大人の表情になった皆さんがそこにいることを期待しています。

1. 仕事選びのこと

仕事選びのこと

その1

身の丈を知りましょう

ウエディングプランナーやりたい。イベント企画したい。イラストを描く仕事ってな いの?

残念ながら高卒求人にそれらの就職口は見当たりません。夢があっていいのですが、 ないものねだりと言われてもしかたありません。残念ながら高校を出たばかりの人 にそれらの仕事を任せるお客はいません。なので高卒求人もありません。

上に書いた例に限らず、企業は即戦力性を強く要求する仕事や、高い専門性を必要と する求人は高校生には出しません。自分の身の丈を知ってください。目の前にある 求人票を見て現実路線で行きましょう。だってあなたは今、「現実の就職」をしよう としているのですから。

その2

趣味は仕事になりませんネ

趣味(好きなこと)が仕事になったらいいなと思うかもしれません。職業未経験者とし ては無理もない考えだと思いますが、はっきり言っていです。

就職して「仕事」となると自分の「好き」にはできません。お客がいて会社があっ て初めて「仕事」として成り立ちます。気に入らなくてもお客の趣味や会社の方針 に合わせるのが仕事です。楽しいだろうと思っていたら、お客からは無理難題や常 識外れの要求も多いし会社からは自分の趣味や考えに沿わない指示・命令もいっぱ いです。あなた個人にきつい売り上げノルマが課せられる業種、業界、企業だって あり得ます。「こんなはずでは…」ですね。趣味はあくまでも自分だけのためであり、 だからこそ楽しく好きにやれるではないですか?。言い換えれそれはお客さんの立場 です。中には趣味の域を超えてプロになる人もいますが、それは今の皆さんの言う 就職ではありません。

でも自分が好きなものを扱う業界に入るのはいいと思います。しかしそれは趣味が仕 事になったこととは違います。勘違いしていませんか?。「就職」は業界や業種の特 徴や働き方などを「仕事」の視点からよく調べて決める方がいいですよ。

その3

やりたいことがわからない・・・?

やりたいことがわからないので決められない、という人がいます。選んでなどいられ ない、とばかりに必死に仕事を求めている大人がそれを聞いたらあきれると思いま す。会社に就職したら仕事をします。仕事をするのは労働するという意味です。そ して労働しておを稼いで自分の力で生活をしていくということです。それが皆さ んが目指している「就職」です。要するに親や他人に頼らず自分の力で生きて行け るようになることです。やりたいことでなければやらない、と言うのであればそれ は労働する目的・前提がなくなり就職することではなくなってしまいます・・・。 だからと言って皆さんはやりたくない仕事や業界を選ぶ必要はありません。求人票 を調べて、自分の性格や能力を考えて、「やりたくない」世界は除いてください。そ してこれならやっていけると思えるものの中からまわりと相談しながら決めてくだ さい。それが初めて就職する皆さんの会社選び、仕事選びの方法です。現実的な妥 協も必要と考えてください。

2. 就職試験のこと

就職試験のこと

その4

「子供」は雇ってもらえないよ

皆さんは子供と大人の中間ぐらいです。本当の子供にはずいぶんと手がかかります。 皆さんも少しぐらいは仕方ありませんが、会社はあまりにも手がかかりそうな子供 は雇いません。

仕事以前のことでまわりの足を引っ張るからです。無断で会社を休みそうだ。朝に突 然会社に行けないという連絡をしてきそうだ。遅刻ばかりしそうだ。汚れたままの ユニフォームで仕事場にいそうだ。課題の提出をさぼりそうだ。 ・・・いろいろ思い当たる人がいたら今のうちに生活習慣を修正、改善しておきまし ょう。

その5

「見かけ」で判断されます

人を見かけで判断してはいけません、とよく言われます。これは見かけで人を差別し てはいけないという意味だと思います。例外もあるでしょうが、人柄や内面 、性格 などは「見た目」に現れます。良し悪しはとにかく、現実には人は「見かけ」で判 断、評価されがちです。誤解されないためには「身だしなみ」や「態度」に注意が 必要なのです。「言葉づかい」も気をつけましょう。

会社見学や面接試験の際の最低限の条件になります。皆さんも少し大人になることが 求められます。

その6

いやでも他人と比較されます

なんでオレがアイツらと比較されなきゃならないんだ、と思うかもしれません。 でも社会人になったら避けられないことです。

人には知識や経験、技術や能力、体力などに違いや差があるのは事実です。中にはハ ンデのある人や支援を必要とする人だっています。

雇う側と雇われる側、それぞれに思惑(おもわく)があって他人や他社との比較の上で いろいろな就職が成り立っています。就職したあとを見ても一生懸命やる人もいれ ば手を抜く人もいます。当然比較され待遇に差が出ます。社会に出るとそれの連続 です。なんでも結果は平等とはいきません。社会人になる以上それを受け入れ、今 もこれからも他の人に負けないようにそれぞれの立場で少しずつでも自分を磨いて いく努力が欠かせません。

皆さんの就職試験は選考ですから比較そのものです。会社は受けた人全員を採用する わけにはいきません。自分を磨いてきた人が有利になるのは当然のことです。

3. 働くときのこと

働くときのこと

その7

本来、仕事は選べないものだよ

「あの子、仕事を選ぶよね…」

会社の中で他の人にそうささやかれたらおしまいです。

つまり仕事って選べないもの、これが本当です。

「私はこれがやりたくて就職したのだからこれしかやりたくない」、「それは私には向 かないと思うのでいやだ」、などと考えていたらそれは間違いです。

第一、就職したら所属が変わり、任される仕事の種類が変わることなど普通のことで す。いろいろ経験して、勉強してたくさんのことができるようになること、それが 会社の中で成長するということです。「あの子、この半年でずいぶん成長したよね」、 そう言われるように努力しなくてはなりません。

はじめから自分に合っている仕事など存在しないと思ってください。 多少の向き・不向きはあるかもしれませんが、たいていの仕事はがんばって粘り強 く続けて行くうちに少しずつ適性が身についてくるものです。 だんだんその仕事に合った人間になっていくという意味です。

 

適性のある仕事のことを適職と言います。 適性が身について適職になってくると、もっと自分の仕事の結果をよくしたいとい う欲が出てきます。知識も身につき仕事の成果もどんどん上がってほめられたりし ます。達成感も感じます。仕事ができるようになり、まわりから評価されるという のは何より嬉しいものなのです。 それが仕事の面白さであり、結果としてやりがいにつながっていきます。

 

時がたち、新しい仕事を命じられても同じことです。そうやって成長していき、会 社全体の仕組みや仕事の流れも体系的に理解し、知識や技術なども磨かれ専門性を 高めていくのです。 さらに取引先や業界全体のこともわかってきます。 これをキャリア形成と言いますが、そうなれば、万が一会社がなくなってしまって も関連性のある他の会社への再就職もしやすいのです。 もう一度言いますが、はじめから適職など、そんなものは存在しません。

 

特に皆さんのような若い人たちは就職してから「適性を身につけ自ら適職を作って いく」、これが本当です。

その8

「適性・適職」は自分で作るものって知ってた?

その9

厳しい上下関係があるのは分かってるよね

会社には役職というものがあります。上下関係です。課長とか係長とか主任とかいろ いろです。会社は組織全体で仕事をします。下がヘマをしたら上の人がさらに上の 人から怒られて、何とかしなくてはならなくなります。だからみなさんがヘマをす るとすぐ上の人から思い切り、それも怖いぐらい怒られます。ショックでしばらく はへこむかもしれませんが仕方ないです。でも上の人は下を成長させる義務も負っ ています。へこみっぱなしでそのまま会社に来なくなっちゃったなどという人がい ますがとんでもない話です。なぜヘマをしたのかを学んで次の日はケロッとして大 きな声で「おはようございます!」と元気に出社してください。しばらくは気まず いでしょうが、それぐらい図太くてかまいません。上の人も本当はそれを望んでい ます。失敗はしかたありません。元気に成長していろいろと面倒を見てくれるすぐ 上の人を喜ばせてあげること、それがみなさんの就職後の当面の目標です。

その10

「お前は客か」と言われないようにと

「待ち」の姿勢や態度はお客の立場だと知ってください。仕事をするようになると自 分でいろいろ調べたり勉強したり事前に準備したりする必要が出てきます。

何でもかんでも手取り足取り、最後まで導いてくれるわけではありません。もちろん 初心者には先輩や上司が必要なことはていねいに指導してくれますが、いつでもど こでもどんな時でも、何でもかんでもいつまでも、というわけではありません。わ かるまで粘り強く質問もせずに、ろくに調べもせずにいて、また教えられたことを 家で復習したりイメージトレーニングもせずにいて、ちゃんと教えてくれない上司 が悪い、最後までめんどうを見てくれない先輩が悪い、だから仕事が覚えられない、 この会社は合わない、などと他人や会社のせいにして不満を言う新入がいます。自 分から動こうとせず、仕事を覚えることやこなしていくことすら先輩方からの「待 ち」の姿勢なのです。そんな人には、「お前は客か!」という、きつい言葉があびせら れるのが普通です。

その11

失敗したら隠しちゃダメ

仕事のミスは絶対に隠してはいけません。早期発見、早期治療が大事な病気と同じで す。早く報告することでその後の損害が最低限に抑えられます。そうしないと後で 取り返しのつかない事態に発展してしまいます。病気が手遅れになってしまうのと 同じです。報告・連絡・相談(ホウ・レン・ソウ)は早ければ早いほどいいのです。ミ スはないほうがいいに決まってますが仕事にはつきものです。ミスすることが悪い のではなく、それを隠すことが悪いことだと知っておいてください。叱られるのが いやでだまっていたり放置したりすると、自分が気持ち悪いだけでなく後でろくな ことになりません。

質問 『どうして高卒求人票以外の求人には応募できないんですか?』
  
 高校生は高卒求人以外の求人に応募してはいけないということではありません。ただ現実的にはかなり困難というのが結論です。確かに世の中には求人情報がいっぱいあります。
 新聞紙面にもあるし、ネットの求人サイトや新聞に入る折り込み求人チラシ、駅や町に出ればフリーペーパーなどなど…。またハローワークに行けば求人だらけです。高卒求人票で探したけれど、どうも魅力的な仕事がないな~、と感じた場合はよけいそう思うかもしれませんね。でもちょっと考えてください。皆さんは今、高校生です。ということは来年の三月までの半年以上は高校生のままです。つまり、内定してもすぐには働けません。高卒求人以外の求人(一般求人)というのは今すぐ働いてくれる人がほしくて募集しているものばかりなのです。皆さんもアルバイトなら今すぐできますがフルタイムの仕事となれば、高校をやめない限り無理ですね。それに対し高卒求人というのは、入社して働くのは卒業するまで待ってあげましょうというのです。またいわゆる一般求人で採用される人は、その仕事の経験が豊富で入社してからいちいち教えなくてもできる人が選ばれて採用されるケースがほとんどです。会社にとっては一番都合がいい人ということになり高校生には少々ハードルが高いです。卒業まぎわ、または卒業後になればハローワークの紹介や個人で直接応募すれば一般求人で就職できないこともありませんが、入社後はかなり厳しいですね。なお、どうしても挑戦したいことがあり、高卒求人は出ていないけれど自分で会社と 交渉して就職を目指すという、いわゆる自己開拓といわれる人や、高校に紹介を求めるのではなく知り合いや家族のコネで就職するという縁故就職などの例も実際にはあります。
 この人達は高校に頼るのではなく、あえて自力で挑戦しようということですが人数は少数です。

ポイント

高卒求人票以外の求人に応募できない
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